弁護士の収入

個人や会社から収入を得る業務の他に、裁判所に選任され裁判所が報酬を決定する業務や日本司法支援センター(法テラス)との契約により報酬が支払われる業務などがある(刑事被疑者・被告人の国選弁護人業務、破産管財人業務、相続財産管理人業務など)。
日弁連の2000年の調査によると、弁護士の所得は平均1,701万円(粗収入から必要経費を差し引いた額)。もっとも、平均値は一部の高額所得者に引っ張られているので、中央値によれば、平均所得は1300万円となる。更に言うならば、500万円未満、1,000万円未満が4割を占めている(裁判官、検察官の退職者の多くが弁護士登録をしていることに注意。これらの弁護士の中には高齢で本格的に弁護士として稼動していないにも関わらず、名誉顧問などの名称で各事務所のパートナークラスの収入を得ている者もおり、実稼働弁護士の実質年収はさらに低下する可能性もある。)。
厚生年金や福利厚生、自営業であることから退職金などもないことを考えると、それらによって得られる利益を差し引くと、実質的な収入はさらに下がる。したがって、実労働時間の長さ、ミスを犯したとき多額の損害賠償請求を受けることも考えると、ハイリスク・ローリターンの職業だともいえる。また、そもそも日弁連の調査は任意のアンケート方式のため、低年収の弁護士(特にいわゆるイソ弁・軒弁・宅弁)は回答を避ける傾向にあるのではないかとしてその回答の正確性に疑問を呈する向きもある。「平成18年の厚生労働省 賃金構造基本統計調査等」によると弁護士の平均年収は現在772万円とされている。なお、この調査に回答した弁護士の平均年齢は32.0歳・平均勤続年数は2.6年である。刑事弁護を専門として行っている弁護士の収入は100万円前後ともいわれる。
司法制度改革で司法試験合格者が急増(2010年には3千人を突破見込み)した結果、弁護士になっても就職できない状況が生まれつつある。雑誌ではSPA!において「年収300万『下流弁護士』大量発生の闇(2007年10月16日号)の特集があり < 読売ウィークリーにも同趣旨の記事があったが掲載日時未確認 > 、TV番組でも毎日放送「VOICE」が、2008年1月22日、3月14日などに取り上げている。
以前は独立までの間、「イソ弁」(居候弁護士の略とされる)として先輩事務所に有給で勤務するのが一般的であったが、先輩の事務所に所属はするものの無給となり「ノキ弁(電話や机を借りるだけ―軒先を借りるから)」と呼ばれる例が少なからずでてきている。軒先も借りられないのでいきなり自宅開業する「タク弁」、携帯電話のみで開業の「ケータイ弁護士」も出てきているとの指摘してもある。「試験にパスしたが年収200万」という「下流弁護士」が弁護士会で大きな問題になりつつあるという指摘もある(07年10月22日付東京新聞)。ちなみに、弁護士法人や合同事務所に勤務したり企業の法務部等に勤務するのでなければ、弁護士は自営業者である。
さらに、「司法試験に合格しても職場がない-"新卒”弁護士激増の時代」の特集でも、1990年ごろまでは毎年500人程度だった司法試験合格者が、全国津々浦々の市民に司法サービスとの要請に2007年は2500 人が就職活動をしている。その中で、「カップラーメンばかり食べている『ワーキングプア・ロイヤーズ(法律家)』もいる。年収数億円の弁護士もいれば、200万円台の人もいる」と階層化が進むという指摘がある。結局「イソ弁(上記参照)」が慣わしだったのが、「ノキ弁(イソ弁と違い、無給であり軒先だけ貸すから)」、中には弁護士会の会費が払えず、弁護士登録していない「潜在的弁護士」が出現。結果として事件の取り合い、闇にも手を出し、暴力団と手を組むなどの質の低下を招くとの指摘がある。このような中でも、弁護士が大都市に集中する傾向は変わらず、滋賀県長浜、福岡県柳川、大分県杵築のように地方裁判所支部の管轄区域内に弁護士が全くいない、あるいは一人だけしかいないような「ゼロワン地域」の解消になっていないという指摘もある(07年10月23日付東京新聞、なお、ゼロ地域問題は、最後のゼロ地域であった滋賀県長浜に2008年6月2日に法律事務所が開業したことによって解消された)。なお,日弁連では,地裁支部を地域単位にゼロワン地帯を定め,鹿児島地裁加治木支部ではいまだにゼロ名であると指摘している(2009年2月)。なお,利益相反の問題があることから,訴訟になった場合,弁護士が1名では相手方に弁護人が立てられないという問題があるため,いまだ解消されたというには程遠い状況であるといえよう。
国選弁護人の報酬を必要時間で割った時給は、弁護士の平均時給の半分以下となっているとされる(弁護士の平均時給が平均1万5,032円であるのに対し、国選弁護人の業務による時給は6,033円という調査結果がある)。このため、法務省は2007年11月 1日から、刑事裁判において被告人が無罪となった場合には報酬を2倍に引き上げるなど、国選弁護人の収入が増えるようにした。

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